ガスクロマトグラフ質量分析装置(GC/MS)
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装置概要
機種 | 島津ガスクロマトグラフ質量分析装置QP2010Plus [ SHIMADZU Gas Chromatograph-Mass Spectrometer QP2010Plus ] |
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設置場所 | 駿河台校舎2号館 地下1階 209A号室 |
設置年度 | 平成18年度 |
性能 | 質量範囲 m/z 1.5~1090 |
試料導入系 | ガスクロマトグラフ:GC-14A 形 オーブン温度:最高450℃ 試料気化室温度:最高450℃ GLC インターフェース加熱温度:最高 350℃ |
イオン源 | イオン源:EI イオン化電圧:10~200V 加熱温度:独立温調 100~300℃ |
分析検出部 | 分析ロッド:プリロッド四重極 |
原理と概要
![gc_ms02[1].gif](/application/files/8615/2775/0736/gc_ms021.gif)
図1 GC/MS 構成図
GC/MS は基本的に次の3主要部からなる.
1.ガスクロマトグラフ
混合試料の高効率な分離を行う.
試料は分配平衡を繰り返しながらカラム中を進行し,分配係数の小さいものから順番に分離されてカラムから出る.
2.インターフェース(セパレータ)
キャリアガスのみを除去して試料成分をマススペクトロメータへ送り込む機能を果たす.
3.マススペクトロメータ
マススペクトロメータへ送り込まれた試料成分分子は,イオン源へ入りイオン化される.
イオン化の方法は 電子イオン化(EI),化学イオン化(CI)などが一般的に用いられる.
生成したイオンは四重極分析場に入り,マススペクトルが得られる.
※電子イオン化(EI)
試料を加熱気化させ気体分子とし,熱電子によって衝撃し,試料イオン(主に分子イオンM+・)を生成させる手法である.試料の加熱気化を必要とするので熱に不安定な化合物には適さず,電子線照射は分解やフラグメンテーションを促進するので構造不安定な化合物にも適さないが,一般に多数のフラグメントイオンの出現が構造解析を助ける特徴を持つ.イオン化可能な分子量範囲は実用的には1000 程度が目安となる.
試料
分子量1000 までの化合物の分析ができるが,沸点の高い試料は誘導体化(TMS 化など)するなどして,沸点を下げてから分析した方が良い.
GC/MS の測定例
次の図は,アセトアニリドを電子イオン化(EI)法によりイオン化して測定したマススペクトルである.
![gc_ms03[1].gif](/application/files/9315/2775/2377/gc_ms031.gif)
図2 アセトアニリドの質量スペクトル
試料化合物の分子量情報の獲得に直接役立つイオンのことを分子量関連イオンと言い,通常,マススペクトルの最も高質量側に出現するピーク群を指す.アセトアニリドの相対分子量は整数質量で135Da である.図の高質量側に出現しているm/z 135 以上の質量を持つピーク群(m/z 136, 137 は同位体イオンのピーク)はアセトアニリドの電子イオン化マススペクトルに現れる分子量関連イオンのピークである.分子量関連イオンの中でも,中性分子Mから電子1個が失われて生成したものを分子イオンといい,M+・で表す.分子量関連イオンのピークは,一つの化合物に対して一本だけ出現するわけではなく,一般に,同位体イオンのピークを伴って数本まとまったピーク群として出現する.また,分子量関連イオンよりも低質量側(m/z 93, 77, 66, 43 など)のピークは分子イオンからの分解生成物でフラグメントイオンと呼ばれ,化合物の構造情報を提供する.
測定
- 測定はライセンス所有者(ランセンサー)が行って下さい.
- ライセンサー以外の使用は認めません.
- 不明な点はガスクロマトグラフ質量分析装置(GC/MS)担当者におたずね下さい.
申し込み
1. | 装置使用報告書に必要事項を記入し,材料創造研究センターに掲示されている月別予約表で確認,記入して下さい. 装置使用報告書は当センターにあります.また,材料創造研究センターホームページ からダウンロードできます. |
2. | 使用期間は3時間を1 単位とします. |
使用方法
1. | マイクロシリンジ,溶媒など測定に必要な器具や試薬類,データ保存用の記録媒体(ウィルスチェック済みUSB メモリーなど)は利用者が用意して下さい. |
2. | 使用開始前に計測機器及び部品を点検してから使用して下さい. |
3. | カラムは通常,ジーエルサイエンス社製キャピラリーカラムTC-1(無極性,0.25mmID×30m,膜厚0.25μm,最高使用温度325℃)が装着されています.その他のキャピラリーカラムや島津ガスクロマトグラフGC-14A 用パックドカラムも使用可能ですが,カラムを交換する際には装置を一度停止させる必要があり,またカラムのエージングを行うため数日から一週間を要します.早めに管理者にご相談下さい. |
4. | 連続稼働中の場合は測定条件設定後1 時間程度で測定できますが,停止している場合は,始動して測定可能な状態になるまで数日間必要ですので,使用希望日数日前から始動しておく必要があります. |
5. | 試料は予め精製,誘導体化などを行い,試料の分解,重合等による装置の汚れを最小限に抑えて下さい.事前にガスクロマトグラフィーによる予備分析をお勧めします. |
6. | 測定室利用中はライセンサーが責任を持って204 号室を管理し,整理整頓に心掛け清潔を維持して下さい.利用目的以外に測定機器はみだりにいじらないで下さい. |
7. | 測定データは古いものから順次消去しますので,保存を必要とするデータはUSBメモリーなどに保存してください. |
8. | 装置の不備や故障,消耗品(ヘリウムガス,プリンター用紙など)が残り少ないなどの場合は必ずGC/MS 装置担当者に報告して下さい. |
9. | 測定終了後,装置使用報告書に必要事項を記入し,当センターに速やかに提出して下さい. |