走査型プローブ顕微鏡 (SPM)
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装置概要
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装置の中心部と低電流ユニット | 分子の走査トンネル顕微鏡像 |
機種 | SII SPI3800N-SPA400 走査プローブ顕微鏡 [Scanning Tunneling Microscope] |
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設置場所 | 駿河台2号館 地下1階 2010号室 |
設置年度 | 平成11年度 |
原理と測定対象物
走査プローブ顕微鏡は,探針と呼ばれる細い針の先でサンプル表面を走査しながら,表面の情報を画像化する顕微鏡の総称である.代表的な測定法に,探針と試料表面の間に電圧をかけて電流値を検出しながら走査する走査トンネル顕微鏡,探針で試料表面を一定の力で押さえながら走査する原子間力顕微鏡,そして,探針を一定の振幅で振動させながら試料表面を走査するダイナミックフォースモードの原子間力顕微鏡がある.本装置でも探針部分のユニットを交換することで,これらの測定が可能である.
走査トンネル顕微鏡(Scanning Tunneling Microscope)
走査トンネル顕微鏡は,探針と試料表面の間に電圧をかけて電流値を検出しながら走査する.このとき探針と試料の間は接触していない.接触していないものどうしの間では,電流は流れないと思われるかもしれないが,ミクロの世界では量子力学の原理が働いて電流が流れることができる.越えられない山をトンネルを通ったように超えてしまうので,この電流をトンネル電流というが,これが走査トンネル顕微鏡の「トンネル」の由来である.
電流を検出するので,試料は導電性である必要がある.ただし,絶縁体でも分子1~2層程度の超薄膜であれば,導電性基板上で観察することができる.このような場合,小さい電流値で測定するのが望ましいため,低電流ユニットを使用すると良い(図左).分解能は極めて高く,条件が整えば分子1つ1つを観察することができる.右図は,本装置で測定した分子が配列した様子であるが,高さの低いオレンジのつぶつぶや高さの高い白いつぶつぶが,分子1つずつの像である.また,原子レベルで平坦なグラファイトなら,炭素原子1つずつを観察することもできる.
原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope)
先端に探針が取付けられているカンチレバーと呼ばれる数mmサイズの板状のばねで,試料を走査する.走査するときこの板バネのたわみ具合を一定になるように試料台を上下させる.この試料台の上下動を記録して画像化することにより試料表面の起伏を見ることができる.
分解能は探針の先端の鋭さで決まるが,通常は数10 nm程度である.試料には導電性は必要なく,ある程度固いものなら測定できる.
ダイナミックフォースモード原子間力顕微鏡
先端に探針が取付けられているカンチレバーと呼ばれる数mmサイズの板状のばねで,試料を走査すると いう点では,上記の原子間力顕微鏡と同じである.このモードではバネを高速で振動させるが,このとき 振動振幅を一定に保つようにする.探針が試料に近づくと,振動振幅が小さくなるので試料台を遠ざけ, 探針が試料から遠ざかると,振動振幅が大きくなるので試料台を近づける.この走査中の試料台の上下動 を記録して画像化することにより試料表面の起伏を見ることができる.
分解能は上記原子間力顕微鏡と同程度であるが,探針を引きずらないので有機材料のような軟らかい試料の測定が可能である.また,液中に浸った状態の固体試料も測定できる.
カンチレバーを振動させるために加える電気信号の周期とカンチレバーの実際の振動の周期はずれるが,このずれを位相差という.試料の軟らかさによってこの位相差の程度が違うことが知られているので,位相差を記録すれば試料の起伏とは別に試料の軟らかさの情報を得ることができる.起伏がなくても違う材料がミクロに混ざった状態を明らかにする目的で使用される.
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測定申込
1. | 初めての方は,材料創造研究センターにお申し出ください. |
2. | googleカレンダーにて予約状況を確認し,予約(研究室名と利用者名)を記入して下さい.また,キャンセルする場合には,わかりしだい消して下さい.なお,利用予定日に不慮のトラブル等により装置利用ができない場合もあります. |
3. | 試用時間は1時間1単位とします. |
4. | 測定終了後,装置使用報告書に必要事項を記入し,当センターに提出して下さい.装置使用報告書は当センターにあります.また,材料創造研究センターホームページからダウンロードできます. |